―――BETAの残骸などが転がり、支援砲撃によって大地が穴だらけの戦場。
そこには一機の大破状態の戦術機が存在していた。
F-15A先行量産型。
だが、アメリカが誇る最新鋭であるはずのその機体は見る影もなかった。
頭部と管制ユニットの大部分が吹き飛ばされ、さらに右腕と左脚、跳躍ユニットの片方も吹き飛ばされている。
それも当然だ。
味方であったはずの東ドイツの支援砲撃に巻き込まれたのだから。
そして、その機体の周囲には回収のためのトレーラーや人員、そして戦術機が存在している。
だが、それは傭兵部隊の戦術機ではない。
東ドイツ最新鋭のMIG-23を駆る彼らは、東ドイツで最も恐れられる存在、シュタージである。
そして、そのF-15Aの残骸の前に立っている妖艶な女性衛士。
彼女こそが、戦術機大隊「ヴェアヴォルフ（人狼）」を駆るシュタージのモスクワ派筆頭とも言えるベアトリクス・ブルーメである。
そして、彼女の傍に立っているのは、ソ連のミコヤム・グルビッチ設計局の技術者である。
「これが……F-15A……！！
いや漲りますな！西側の最新鋭の機体を手に入れられるなど！
貴方にはいくら礼を言っても言い足りませんな！
……ですが、欲を言えばもっと完全な状態で欲しかったものですが……まあ、支援砲撃を受けてこれだけ残っていれば御の字でしょう。」
「ええ、喜んでいただけて嬉しいですわ。」
興奮している技術者を冷静に見つめながら、ベアトリクスは妖艶な笑みを浮かべる。
モスクワ派筆頭とも言える彼女は、ソ連と繋がりが深く、すでに開発中の最新鋭の戦術機、
MIG-27アリゲートルの配備を優先させてもらうように、グルビッチ設計局に働きかけている。
今回のこれもその一環である、
「ええ、この機体により我々の開発中の機体……Ye-155の研究は大きく進む事になるでしょう。礼を言います。
もちろん、現在試作開発中の我々の最新鋭機、MIG-27アリゲートルはそちらに最優先に配備するよう交渉してみせましょう、」
現在、グルビッチ設計局では新しい戦術機の開発が行われている。
それは、高い支援砲撃能力と高速突撃能力を有するハイヴ攻略に特化した新型戦術機である。
その設計思想は、F-15よりも、F-14に近いと言ったほうが正しい。
その新型の戦術機を開発するために、グルビッチ設計局は様々な諜報活動を行なっているのである。
「それは嬉しい話ですわ。同士。
これからも仲良くしていきたいものですわね。
……ああ、F-15Aの中の『残骸』は適当にその辺に捨てておきなさい。邪魔だから。
……ではこれで。」
彼女は、部下にそう命じてその場を去っていった。
―――ネスト・オブ・ギース内部。
X-29の主任設計者であり、X-29の機付長である彼女は、
自らの部屋でいつものようにスフォーニ設計局の技術者であるエーシャと意見交換に勤しんでいた。
今回は、X-29との交戦で得られたMIG-23のデータの解析である。
同じソ連とはいえ、ライバルである、グルビッチ設計局の最新機体のデータなどエーシャにとってもどうしても欲しいデータである。
さらに最新鋭の戦術機同士の実戦のAH戦闘など、どの国でも喉から手が出るほど欲しいデータである。
「……やはりX-29の戦闘能力は対戦術機戦においても十二分に発揮できるようですね。
特にフライバイライトによる反応速度の向上はAH戦において極めて大きい威力を発揮するようです。
それにMIG-23のデータが得られたのも幸運でした。あの機体のデータは我々もアメリカも欲していましたからね。
そして、MIG-23の実力は、やはりF-14やX-29に及ばない事が確認が取れましたし…・・・これだけでも大きな収穫です。」
そんな風に二人でデータを解析していく途中、ふとエーシャが別の話題を振ってくる。
「……で、どうなのかね？奴の具合は？」
「……？」
その彼女の質問の意味を捉えかねて、ブリジッドは不思議そうな顔をする。
「ふん、アルムのことだよ。
傭兵の分際で随分と感傷的な奴だ。いやまあ、いつもの事か。
で？貴様は何もしないのか？」
「……？何か、とは？」
「ふん、落ち込んでいる男を膝の上で泣かせられるぐらいの度量がなければ女とは言えんな。
衛士の精神状態に気を配るのも機付長としての役目だろう？
ましてや、奴は貴様の大切な準第三世代戦術機X-29を操れる貴重な衛士だ。
あれほど極端にピーキーな機体を実戦で乗り回せる衛士など貴重だぞ？
……私からすればあそこまでピーキーなセッティングにするのは理解できないが。」
「ど、どこぞの恋愛物じゃあるまいし、衛士と機付長が恋人になるなんて夢物語です！
確かに、彼の精神状態に気を払うべきという貴方の言葉も一理ありますが……！！」
「ほう？私は精神状態に気を払えと言っただけで、
一度と恋人関係になれなどとは言っていないが？」
「なっ、なっ……！！」
あわあわあわ、と顔を真っ赤にするブリジッドを見て、エーシャは気が紛れたと言わんばかりに愉快そうに微笑んだ。
「ふむ、まあいいさ。貴様の好きにするがいい。だが、貴様のX-29を十二分に活躍させるためにも、
奴の精神状態をメンテする事は悪い事ではない、と老婆心ながら忠告をしておいてやろう。
……さて、私は要件があるのでな。ここで失礼する事にするよ。」
そう言い残して、彼女はブリジッドの部屋を立ち去っていった。
残されたのは、顔を真っ赤にしてぐぬぬ、と唸るブリジッドの姿だけだった。
―――ネストオブギースのハンガー内。
そこに装甲列車から運び込まれたコンテナが運び込まれてくる。
それは、ソ連のスフォーニ設計局から運び込まれた新しい戦術機である。
傭兵部隊は、事実上国連の下部組織であり、各国からの供給資金から成り立っている。
そして、それはソ連も同様である。
さらに、資金を供給している分、色々好き勝手言ってくるのも当然と言える。
この戦術機をねじ込んできたのもその一環である。
それを無表情に眺めているのが、レイヴン中隊の隊長であるリディアである。
そんな中、彼女に対して一人の女性が話しかけてくる。
「ご機嫌はいかがかね？
ああ。初めましてだな。リディア同志。
私はスフォーニ設計局のエーシャと言う。よろしく頼むよ。」
そう彼女に向けて話しかけてきたのは、ブリジッドの部屋からここに直接きたエーシャである。
そんなエーシャを横目で冷ややかに見つめながらリディアは言葉を返す。
「……ええ。初めましてですね。スフォーニの技術者。
ですが同志というのはどうかと。
私は単なる傭兵であってソ連とは関係がないのですけれど。」
「ほう！関係がない！いい言葉だな。
流石に西側に染まった人間は言う事が違う。
何を言っても自由というわけか。いやはや羨ましいな。」
「………。」
そのエーシャの言葉に、リディアはさらに視線を冷たくさせる。
だが、このままではラチが明かないと思ったのか、渋々口を開く。
「……で、何の用かしら？
貴方のような無能の暇人と遊んでいられるほど私は暇ではないのだけれど。」
「いやいやこれは手厳しい。
だがまあ安心したまえ。今回私が来た要件は、君に渡す新型の戦術機の件でね。」
「……新型？アルムくんのような実験機とかは勘弁してもらいたいのだけれど。
アルムくんも実験機なんて信頼性のない戦術機に乗るなんてどうかしてるとしか思えないわね……。
まあ、それはさておき、その新型というのは？」
「ふむ、いいだろう。付いてきたまえ。」
彼女が見ている中、コンテナが割れ、中から新しい戦術機が姿を表す。
それは、F-5を連想させるイメージでありながら、さらに無骨な造形である機体だ。
さらに特徴的なのには、上腕部と脛部にスーパーカーボンブレードが装備されている事である。
それは明らかに近接戦闘を重視している事にほかならない。
「これが我が設計局が開発した戦術機Su-15,近接戦闘強化版だ。どうかね？」
「……やっぱり実験機じゃない。いえ、正確に言うと試作機というべきかしら。」
「おおっと、このSu-15をそこいらの信頼性のない試作機や実験機と一緒にしてもらっては困るな。
いいかね？コイツはもう量産試作段階にまでこぎつけていたんだ。量産段階にまで入っていたということは、
信頼性は量産機とほぼ同等と考えてもらっていいということだ。
さらに我が設計局独自の改修が施され、第一世代から準第二世代にまで性能を向上させ、
BETAとの近接戦闘のため、トーネードIDSと同様に装甲にカーボンエッジを取り入れている。
戦闘力ではそこらの戦術機に劣るものではないと自負しているが。」
「……でも採用されなかったのでしょう？だとしたら貴方たちがよほど間抜けということね。」
「……君は痛い所をつくな……。いやまあその通りなのだが。
まあ、どちらにせよ『君には選択肢はない』そうだろう？」
にやり、と邪悪に微笑むエーシャに対して、リディアは憮然とした表情で黙り込んだ。
「……さて、どうしたものでしょうか。」
一方、ブリジッドは、エーシャのいう事が気にかかったのか、
そのままアルムの部屋の前へと向かっていき、その前で立ち止まった。
何と理由を付けて入ったものか、と。困ったように部屋の前でうろうろとしているが、
やがて意を決したように、部屋のドアをノックする。
「ええい、女性は度胸……！入ります。」
「ああ。お嬢さんか。どうしたんだ？」
部屋の内部では、書類仕事などを終わらせたアルムが椅子に腰をかけて合成ウィスキーを口にしていた。
元々、部下の弔い以外ではあまり酒を飲まない男である。
それがここ最近酒を飲む回数が増えているというのは、亡くなった部下を悼んでいるのか、自分自身に重ね合わせているのか、
それとも恐怖を押し隠すためか。
衛士ではない彼女にはよくわからないが、どちらにせよ、ブリジッドにはあまりいい事には思えなかった。
「い、いえ……。まあどうという事はないのですが……。
そ、その少しぐらいなら話に付き合ってもいいと言っているんです。
ええ、貴方にダウンされるとATDP計画自体が頓挫する可能性もあるのです。
そのために貴方の精神面をメンテするのも私の重要な任務と言えるでしょう。」
そんな風に顔を真っ赤にしながら一気に言い放つブリジッドを見て、アルムはやれやれ、と軽く肩を竦める。
「やれやれ。酒を一緒に飲むのにも理屈が必要なのかよ。
全く面倒くさいねぇ。技術者って奴はよ。」
そう言いながらも、アルムは空いているイスを指し示して、もう一個グラスを用意し、そこに合成ウィスキーを流し込む。
ちょこん、とイスに座った彼女は、むーっとグラスに注がれた合成ウィスキーを見つめると、一気にその合成ウィスキーをあおる。
「あっバカ。それはそういう風に飲むものじゃ……。」
「げ……げほっ！げほげほっ！！
お、お酒ってこんなものだったのですか……。美味しそうに飲んでいる人たちが理解できませんね……。」
げほげほとむせる彼女を見て、はははは、とアルムは軽やかな笑い声を上げながら、彼女の頭をぽんぽんと撫でる。
それは部下が亡くなって始めて見せる彼の笑顔だった。
―――場面は変わり、装甲列車から輸送されてきた補給物資を確認しているオールドギース爺さんに対して、
そこへと歩いてきたアルムは声をかける。
「爺さん、ちょっと話があるんだがいいか？」
「おう、久しぶりじゃなアルム。
……おっ、いい臭いがするぜ。金じゃな？金の話じゃな？」
そのオールドギースの言葉にさすがのアルムも苦笑いを浮かべる。
「……爺さん、金を払えば情報も集めてくれるんだよな。」
「おう、金さえ払えばな。ま、安心せい。信用問題に関わるんで、
お前さんが何を調べようとしているかの情報は早々売ったりはせんわい。
もちろん情報料にさらに口止め料を割増にしてくれたら、の話じゃけどな。」
その言葉に、アルムは思わず再度苦笑いを浮かべる。
「やれやれ。爺さん相変わらずがめついな……。
ま、いいさ。調べてもらいたいのは……東ドイツのシュタージ、ヴェアヴォルフ中隊とその隊長についてだ。」
その彼の言葉に、ぴたり、とオールドギースの動きが止まり、呆れたように声を出す。
「やれやれ。お前さんもしかして自分一人でシュタージに喧嘩を仕掛けるつもりかい？」
「……別に俺は正義の味方じゃない。
あいつらが東ドイツで何をしようが俺の知った事じゃあない。
……だが、こっちに牙をむいたのなら話は別だ。
きっちりと借りは返してもらうぜ。それだけの話さ。」
にやり、とそう不敵に微笑むアルムに対して、オールドギースはやれやれ、とため息をつく。
「解ったわい。ただし時間はもらうぞ？シュタージを調べるとなればこちらも相応の手間暇がかかるからな。」
「ああ、それでいい。頼んだぜ爺さん。」
と、その瞬間、基地内にスクランブルのアラートが鳴り響く。
それと同時に基地内の人員が一気に走り回る。
即時適応部隊である彼らにとっては最早慣れ親しんだ音であるとも言える。
「衛士はブリーフィング室に集合しろ！急げッ！」
「回せ―――ッ！！
跳躍ユニットの推進剤をチェックしろ！弾薬の補充急げ――ーっ！！」
「バカ野郎！ナイフなんざいい！
予備弾薬をありったけ積み込め！！
レイヴン中隊の戦術機の装甲にラックを装備させろ！そこに予備弾薬を積み込むんだ！」
「今回はハミングハードも出撃だ！
多脚型運搬車両と輸送型戦術機のチェックを急げ！特に多脚型運搬車両のジャベリンのチェックを忘れるなよ！！」
「全く生き生きしやがって……。どいつもこいつもロクでなしどもばかりだぜ。」
そんな風に騒ぎ立てる整備兵たちを横目で見ながら、アルムはにやりと不敵に笑い、
ブリーフィングルームへとダッシュする。
ブリーフィングルームへと入った彼は、ほとんどの衛士が揃っている事を確認する。
「おいおい、随分と遅かったな。美人とデートか？」
「抜かせ、俺は爺さんとデートする趣味はないぜ。」
入ってきたアルムに対して、ラリーは軽口を叩くが、アルムもそれに対して軽口で答える。
そして、残った衛士が全て入ってきた後しばらくして、基地司令であるディートリッヒと副司令がブリーフィングルームに入ってくる。
「アテンション！！」
その瞬間、ブリーフィングルームにいる衛士たちが一斉にディートリッヒに敬礼する。
「諸君、楽にしたまえ。
我々はこれよりチェコスロバキア軍の援護に向かう。
現在の状況としては、今回の敵BETA軍の大規模攻勢のため、チェコ軍の前線が一部崩壊。戦線が寸断されつつある。
そのため、突出したBETA群に対して、我々傭兵部隊が横あいから突撃。
先端のBETA群を巻き込む形で寸断し、後続部第の戦力で包囲殲滅する。
これは特に機動性と打撃力に優れた戦術機部隊でなければ不可能だ。」
その瞬間、ブリーフィングルームの大型モニターに現在の戦況が映し出される。
チェコスロバキア軍は、防衛線で懸命にBETAを防いでいたが、その一部が崩壊。
そこからまるで溢れる水のようにBETA群が侵入し、戦線は崩壊の危機に瀕していた。
「……今回はワイルドギース中隊、レイヴン中隊、そしてオウル中隊並びに補給部隊であるハミングバードも前線に出る。
先陣はワイルドギース。機動性と突破性に優れた貴様たちの部隊でBETA群に穴を開ける。
そして、レイヴンが補給部隊であるハミングバードを護衛しながら国連軍と共に後詰めを行い、戦線を再構築する。
我々オウルは光線級吶喊だ。邪魔な光線級の排除に向かう。」
そのディートリッヒの言葉と共に、傭兵部隊の進行方向が矢印で表示される。
ワイルドギースが先陣を切り、BETA群の後方に真横から突撃。
BETA群の先端を寸断し、さらに後方からのレイヴンと国連軍によって戦線を再構築。
オウルはその間に邪魔な光線級を排除するというプランだ。
戦線を再構築した後に、孤立したBETA群を包囲殲滅し、さらにBETA群の侵攻を押し止めるという流れだ。
今回は、味方が巻き込まれるという懸念から支援砲撃は期待できない。
純粋に戦術機の戦力で何とかするしかない。
確かに、ワイルドギースには最新鋭の第二世代戦術機であるF-15A先行量産型とX-29が存在する。
その機動性と打撃力は他の部隊をずば抜けている。
プランとしては道理にかなっている。だが……。
「……この困難な任務をこなせるのは諸君らだけしかいない。何か質問は？」
「他のドン亀共じゃ無理って事ですね。
だが、支援は十分に受けられるのですか？
敵のど真ん中で立ち往生すれば逆にこちらが包囲殲滅される。」
そう、それが一番の懸念だ。
敵の戦力はこちらの上。
BETA群を突破できない場合、あるいは後方の増援が途切れてしまった場合、
先陣であるワイルドギースは敵BETA群に逆に包囲殲滅されてしまう事になってしまう。
「先ほども言った通り、我々虎の子である補給用の多脚運搬車両並びに
補給コンテナを背負った補給用の輸送戦術機……ハミングバードも同伴させる。
そして貴様らが孤立しないように後詰めに国連軍も来てくれる予定だ。
……まあ、奴らが我々を盾にするのは業腹ではあるが今更だな。」
「では各自幸運を祈る。……出撃！！」
―――そこは文字通り地獄だった。
まだ戦線の再構築が済んでいない時のBETA群の攻勢。
それはまさしくチェコスロバキア軍にとって悪夢そのものだった。
チェコスロバキアは優れた工業国であり、兵器製造などに優れている。
だが、独自の戦術機を作れるほどではなく、ソ連からのMIG-21のライセンス生産を行なっている。
優れた工業国であるチェコスロバキアの技術力で作成された戦術機は、東ドイツと同様に評判が高い。
だが、そんな国家でも純粋な戦力不足はどうしようもない。
今回のBETA群の攻勢により、戦線の一部が破られてしまい、戦線が寸断状態に陥ってしまっていた。
「HQ！！撤退を！撤退許可を！」
「ダメだ。撤退は許可できない。その場で踏みとどまれ。繰り返す、撤退は許可できない。」
その上層部の命令に、最早ボロボロのチェコスロバキア戦術機甲連隊は怨嗟の声を上げる。
「くそったれ！上層部どもめ！俺達を見捨てる気か！このままじゃ戦線が寸断されるぞ！！」
そんな怨嗟の声を上げる中、キュイイインと跳躍ユニット独自のカン高い跳躍音が響きわたる。
しかもそれは数機だけではない。
何十機もの音だ。……だが、MIG-21の跳躍ユニットの音に慣れた彼らにとってはそれは異質な音だった。
「援軍か！？しかし……どこから？今の我々にはそんな余裕は……ってな、なんだありゃあ！？」
その戦術機部隊を見た彼らは絶句した。
先頭を駆けるのは、まるで一角獣を連想させる角に見えるセンサーマスターを所有した洗練された機能美を持ちながら、
まるで日本刀のように研ぎ澄まされたスマートで優美な機体。
そして何より特徴的なのは、今までの戦術機と全く異なる前進翼を所有する戦術機。
―――準第三世代戦術機、X-29。
そしてそれに率いられるのは、第一世代戦術機に見られた彼らが今まで全く見た事のないスマートでありながら
機能性に優れた機体であるF-15A先行量産型。
さらに、後方からは彼ら虎の子である多脚運搬車両と背中に補給コンテナを背負った輸送用戦術機。
それを護衛する今まで全く見たことのないF-5を連想させながらそれとは全く異なり、
機体表面装甲にカーボンブレードを装備した戦術機……Su-15を中心としたレイヴン戦術機中隊。
そして、最新鋭の両腕にカーボンブレードと跳躍ユニットに可変翼を装備したF-5を連想させるトーネードADVを引き連れるオウル中隊。
さらにその後方にはF-4を中心とする国連軍だ。
そんなてんでバラバラの機種でこちらに援護を行う戦術機部隊を見て、彼らは絶句する。
それも当然だ。通常、少なくとも中隊規模では機種を統一するはずである。
こんなセオリーを無視した部隊などありえない。
ありえるとしたら……。
《トライ・マーセナリーズ傭兵部隊見参！！》
アルムは全オープン回線を開始してそう戦場に存在する全部隊に高らかに叫ぶ。
「行くぜ、クソったれども！
BETAを真横から殴りつけるだけの簡単なお仕事だ！
足は絶対に止めるなよ！とにかく前進することだけを考えろ！」
「「「了解！！！」」」
そう叫ぶと、ワイルドギース中隊はBETA群の横っ腹に向かって次々と突撃する。
それを見ながら、トーネードADVを駆るディートリッヒはオウル中隊に通信を入れる。
「よし、行くぞオウル。
我々はワイルドギースとレイヴンの援護のために後方の光線級を始末する。
ワイルドギース、幸運を祈る。」
それだけ言い残すと、彼らはワイルドギースやレイヴンから離れて光線級吶喊（レーザーヤークト）を行うべくBETA群へと突撃していく。
基地司令が光線級吶喊を行うなど無謀極まりない行為ではあるが、それを成し得るだけの実力があるのも確かである。
呆然とするチェコスロバキア戦術機甲部隊に対して、横目で見ながら、アルムは通信を入れる。
「邪魔だ！！間抜けども！！
これから俺達がBETA群に風穴を開ける！
お前たちはそこでくたばるまで踏みとどまっていろ！」
そう叫びながら、アルムのX-29は、突撃砲の３６mmを要撃級の胴体部に叩き込み、長刀を薙ぎ払い、もう一匹の要撃級の尾を切り飛ばす。
さらに、もう一匹の要撃級を飛び越えながら、同時に前進翼のカーボンブレードで要撃級の尾を切り飛ばす。
他のF-15A先行量産型も黙ってはいない。
ラリーのF-15Aは前進しながら３６mmを要撃級の脚部に叩き込み、動きが止まった所を
試作型追加装甲ベルゼルガを横なぎに薙ぎ払い、要撃級を側面ブレードで切り裂く。
「ハッ、稼ぎ時ってやつだな。HQ、札束用意して待ってろよ。」
そう言いながら、さらにラリーは突撃級の後部にベルセルガの大型スパイクの切っ先を叩き込み、
１２０mmで群がる小型種を吹き飛ばす。
ベルゼルガは、東ドイツで使用されている多目的追加装甲「シェルツェン」をベースにした追加装甲であり、
シェルツェンと違う所は、中央にパイルバンカーが装備されている点である。
近接戦闘戦を重要する機体の開発を期間事業とするグラナンが面白半分で作ってみた試作型追加装甲で、
確かに、パイルバンカーの威力は強力ではあるが極めて使用が難しいという事で、
それならば通常のシェルツェンのほうがいいと判断された装備である。
そんな判断をされた兵器を十二分に使いこなしているという地点で、彼も凄腕ということがよくわかる。
「ワイルドギース。言うまでもないが撤退は許可できない。
繰り返す、撤退は許可できない。以上だ。」
そのHQの言葉に、アルムはせせら笑って答える。
「ハッ、そんな事はいつものことさ！」
「いつも通りの鉄火場というわけですね。分かります。」
そんな軽口を叩きながら、アルムのX-29とラリーのF-15Aはまさしく鬼神のごとく先陣を文字通り切り開いていく。
ここは、流石に熟練の突撃前衛である面目躍如と言える所である。
最新鋭の二機の戦術機は、彼らの手によってその戦闘能力を十二分に発揮されていた。
「……流石というか無謀というか……。狂戦士（ベルセルガ）とはきっとああいうのを言うのでしょうね。
まあどっちみち、ここを切り開かねば生き残れないというならばそうするまでです。」
BETAの血に塗れながら、文字通りBETA群を切り開いてひたすら突撃するのを鷹瀬は呆れたようにちらりと見ながら、
冷静な機動砲撃戦でひたすら前進しながらBETAを打ち砕いていく。
戦術機耐性の低い彼女は、彼らが行なっているような派手な機動性を生かした近接格闘戦は（短期間ならできるが）は無理だ。
二次元移動を生かした３６mmと１２０mmを生かした機動砲撃戦によって援護を行いながら、さらにBETA群の奥深くへと切り込んでいく。
「しっかりついてこいよレイヴン！
初機体で慣れてないからってヘマするなよ！！」
「こちらの心配をするなんてギース１は随分と余裕があるのね。羨ましいわ。
……こちらの事よりも、BETA群を突破することに全力を尽くしなさい。以上。」
そう言いながらも、Su-15を先頭とするレイヴン中隊もハミングバード……多脚運搬車両と輸送戦術機と共にBETA群へと突撃する。
多脚運搬車両や輸送型戦術機へと群がるBETA群を次々とレイヴンは排除していく。
多脚運搬車両にはA-10が装備しているジャベリンがあちこちに装備されているが、それでも近づけないほうがいいことには変わりない。
次々とハミングハードを狙ってくるBETA群を１２０mmと３６mmで薙ぎ払い、次々とハミングハードの多脚運搬車両に搭載されている
予備弾薬を交換してひたすら撃ちまくる。
元々、ガンスリンガーである彼女にとっては、極めて得意な作業である。
「ふむ、流石に射撃システムの精度はこちらが上なのね……。
原型がF-5だけあって軽量で機動性が高いのは流石ね。ミラージュⅢEで慣れた私には操縦しやすい機体ね。」
だが、いかに予備弾薬が豊富だと言ってもそれだけで抑えられるほどBETAは甘くない。
弾幕をすり抜けて小型種がハミングバードへと向かう。
戦車級は無論だが、闘士級と言っても油断はできない。
運搬車両の中に乗り込んでしまっては中の人間もただではすまない。
「……チ、やむを得ないわね。私の趣味ではないのだけれど。」
リディアはそう舌打ちすると、群がってくる小型種を、
Su-15の脚部に装備されたカーボンブレードで前蹴りの応用で薙ぎ払う。
さらに突撃砲の１２０mmで要撃級を吹き飛ばし、近寄ってきた要撃級の尾を腕に装備されたモーターブレードで切り飛ばす。
モーターブレードは、始めて戦術機に導入されたが、威力・信頼性ともに疑問が持たれていた。
事実上、これが初の実戦試験と言える。
だが、モーターブレードは予想外の威力を発揮して、小型種を切り裂いていく。
「……ふむ、どうかと思いましたが……意外と悪くないわね。この機体。」
流石に近接戦闘を強化をメインとして作られた機体らしく、彼女の今まで操っていたミラージュⅢEよりも近接格闘能力は段違いである。
それに満足いったのか、彼女は微かに頷く。
「さあ、レイヴン。行くわよ。
あの間抜け面のBETAどもに目にものを見せてやりなさい。」
この作戦のため、トライマーセナリーズはワイルドギース、オウル、レイヴンの三部隊を投入している。
さらに、虎の子の補給用のF-4改修機もそれぞれの中隊に配属している。
補給用のF-4は予備担架システムを取り払い、背中に予備弾薬を詰め込んだ補給コンテナを装備している。
それをコンテナに取り付けられた補助腕によって取り出し、それを直接他の機体に手渡すのである。
「ワイルドギース各機、弾が無くなりそうになったらハミングハードから補給を受けろ！
レイヴン、ハミングハードの護衛は頼んだぜ！
行くぞ野郎ども！パンツァーフォー！！」
「いや俺達別にドイツ人じゃないし……。
まあいいさ。行くぞ！きっちり給料分の仕事をこなせ！」
そう言いながら、さらに深く切り込んでいくアルムのX-29とラリーのF-15A先行量産型。
X-29はWS-16S突撃砲のストック部分にマグネットで３６mmの予備弾薬を無理矢理装備している。
それを現在の３６mmと交換するアルム。
ラリーのF-15Aは追加装甲であるベルゼルガの後ろに予備弾薬を積み込めるためまだ弾薬の余裕はあるが、
X-29はそろそろ弾薬が心もとない感じである。
その間に、鷹瀬や他のギースたちは、順番に一時後退し、疾走しながら多脚運搬車両に大量に詰め込まれた予備弾薬を補充する。
「……ギース１２からギース１へ。
進撃速度を緩めて下さい。そちらに予備弾薬と長刀を手渡しを行います。他のギースは援護を。」
その言葉と共に、鷹瀬のF-15Aは、膝部の兵装収納モジュールに３６mmの予備弾薬を詰め込み、
背中に新しい近接長刀を装備すると、そのままX-29に追いつくべく速度を早める。
「……くっ。」
元々戦術機適正の低い彼女にとってF-15Aの機動性は酷だ。
さらに速度を早めてBETA群をくぐり抜けるなどやはり無理がある。
だが、そうでもしないと生き残れないのだ。
ここでBETA群を突破できなければ待ち受けるのは諸共の全滅である。
それでは己の任務を果たすことができない、と判断した彼女は、多少の無理を行う事を覚悟した。
群がる戦車級を１２０mmで吹き飛ばし、寄ってくる要撃級を３６mmで打ち倒していく。
と、そんな中に、ラリーのF-15Aと一緒に一度後退してきたX-29が駆けつける。
「礼を言うぜギース１２！これが終わったら酒でも奢ってやるよ。」
「……私は酒は得意ではありません。そんな事よりBETA群を突破する事を最優先に。」
共に並走しながら、鷹瀬のF-15Aは兵装収納モジュールから次々とアルムのX-29へ３６mmの予備弾薬を取り出し、直接手渡ししていく。
当然、その間にも二機は（ラリーや他のギースたちが護衛しているといえ）手にした突撃砲でBETAたちをなぎ払っていく。
「はいはい了解。ったく部下にこんなこと言われるようじゃ俺もカリスマがないぜ。」
「……カリスマなど元から欠片もあるように思えませんが。それでは、これで最後です。」
最後に背中の兵装担架システムに装備していた新品の近接長刀を差し出す。
アルムのX-29は使用すぎて刃が欠け始めたBETAの体液にまみれた古い長刀を目の前の要撃級に投げつける。
その長刀は見事に要撃級の胴体に深々と突き刺さり、地面にずずんと倒れ込む。
そして鷹瀬のF-15Aが持っていた長刀を受け取る。
だが、その状況下では、アルムのエレメントであるラリーのF-15Aに隙が出来てしまうのも必然と言える。
「チィッ！！」
ラリーのF-15Aに対して、真横から襲いかかる要撃級。
ラリーは、それに対してベルゼルガを真横に振り抜き、ベルゼルガ側部のブレードによって要撃級を切り裂く。
だが、どう、と地面に倒れる要撃級の上に無数の戦車級が群がり、それを足場として、F-15Aの跳躍ユニットへと取り付いていく。
「クソっ！しまった！！」
ラリーは瞬時に噴射跳躍を行い、戦車級を跳躍ユニットの噴射で黒焦げにし、振り払うが、
それでも数匹の戦車級が、ラリーのF-15Aの跳躍ユニットに取り付いたままである。
そして取り付いた戦車級は、跳躍ユニットの表面装甲と翼を貪り食っていく。
「―――！！」
「―――！！」
その瞬間、アルムのX-29と鷹瀬のF-15Aは同時に突撃砲の銃口をラリーのF-15Aに向ける。
―――単発射撃。
二機の突撃砲から発射された３６mmは的確に戦車級に命中し、その戦車級は体液を流しながら地面に落ちていく。
「……！！助かる！！」
ラリーのF-15Aはさらに加速し、残った戦車級を風圧で振り払っていく。
F-15Aの跳躍ユニットは表面装甲と尾翼が失われているが、それでも飛行できるのは、流石最新鋭のF-15Aであると言えるだろう。
その状況下でも、ラリーのF-15Aはさらに平然と戦闘行為を再開する。
跳躍ユニットに張り付いた戦車級を落とした、鷹瀬の狙撃を見て、アルムはヒューと口笛を吹く。
「ヒューッ！やるねえ。単発の狙撃で跳躍ユニットに取り付いた戦車級を排除するとは。」
「……それはそちらも同じでしょう。
同じ事をしでかした相手に褒められても嬉しくも何ともないのですが。」
「ま、細かい事は気にするな。それに俺の場合はこの機体だからということも大きい。
悪いな相棒、今からそちらに支援に……？」
と、彼らはBETA群の動きが変化している事に気づいた。
―――１方、光線級吶喊を行なっているオウル中隊は、
トーネードADVの可変翼による高速飛行と両腕のカーボンブレードによって強化させた近接格闘性によって敵陣深く切り込んでいた。
「……ふん。何かかんや言いながらきっちりと仕事をこなす所は流石だな。
では諸君、我々も自分の仕事を行うとしよう。
見せてもらおうか。トーネードADVの実力をな。」
通常のF-5と異なり、可変翼を搭載したトーネードADVは通常よりも運動性・最高速度に優れている。
それは光線級吶喊においては大きな武器と化す。
さらに両腕に装備されたスーパーカーボンブレードもBETA群に切り込むための大きな武器となる。
それはガンスリンガーであるディートリッヒにおいても例外ではない。
意外に順調とも言える勢いでBETA群に切り込んでいくオウル中隊だが、唐突にディートリッヒに異変が生じる。
「ぐっ……！目が……！！」
いきなりディートリッヒの視界が一気にぼやけてしまったのだ。
いかに網膜投影システムと言えど、その網膜自体に異変が生じては完全に映像を映すことは難しい。
「どうしたんですか！？隊長！？」
いきなり、ディートリッヒのトーネードADVは速度を落とし、ほんの一瞬、地面に足をつけて立ち止まる。
それは明らかに無謀だ。
見渡す限りのBETA群のおいて脚を止めるなどただ貪り食われるのを待つだけでしかない。
だが、彼はほんの一瞬の内に、先ほどまでの映像情報から味方機の機動と位置を予測し、跳躍ユニットの音によってその位置を再確認。
さらに、地面に一瞬だけ足をつける事により、BETA……要撃級が地面を進む振動を感知し、
同じように先ほどの映像情報からの移動速度などによって位置を予測し、
振動によって大体の速度と位置情報の誤差を修正し、そこに弾丸を叩き込む。
それによって、彼を狙って近づいてきた要撃級は３６mmを受けてずずんと倒れ伏す。
さらに後方から迫り来る要撃級を後方射撃によって打ち倒す。
これで一番恐ろしいのは、小型種だ。
大型種は歩く時に独自の振動音を立てるが、小型である小型種はその小型さゆえに大きな音は出ない。
一瞬、足を止めた瞬間に、戦車級にたかられたらアウトだったが、運良く戦車級の群れは近くに存在しなかったから出来た荒業である。
そして、次の瞬間視界が元に戻ったディートリッヒは再び噴射跳躍を開始する。
「司令！どうしたんですか！？機体のトラブルですか！？」
客観的に見れば、ディートリッヒのトーネードは、噴射跳躍で真っ直ぐ飛んでいたときに、
いきなり失速して、地面に一瞬だけ接地し、迫り来る要撃級の群れに正確に３６mm射撃、そして再び噴射跳躍を開始したという流れである。
「……いや、何でもない。
ちょっとした仕事疲れさ。
デスクワークばかりでどうやら私も鈍っているようだ。さて、では行くぞ諸君。
楽しい光線級駆逐の仕事だ。」
そして、彼らはBETA群を突破すると、本命である光線級に攻撃を開始した。
――オウル中隊が光線級に攻撃を仕掛けている時。
BETA群の突破を図っているワイルドギースはその異変に気づいた。
さらにBETA群の増援が、すぐ隣のチェコスロバキア軍の戦線に襲いかかったのだ。
この上さらに戦線が崩壊すれば、逆にこちらが包囲殲滅されてしまう可能性が高い。
「まずい！こちらが逆に包囲殲滅されるぞ！」
「HQに伝えろ！国連軍の一部をチェコスロバキアの戦線の増援に向けろ！
これ以上戦線が崩壊したら支えきれんぞ！」
アルムはX-29の通信機能を使用し、HQに伝える。
X-29の優れたセンサーマストは通信機能にも優れており、重金属雲下でも通信が可能である。
さらに彼はオープン回線を利用してチェコスロバキア軍にも通信する。
「チェコスロバキアの間抜けどもに伝えろ！
こちらはきっちりと仕事をこなす！
貴様らも誇りがあるのならきっちり仕事をこなせとな！」
そのX-29の通信を聞いたチェコスロバキア群の機甲連隊の連隊長は激怒した。
「誇りがあるなら仕事をこなせだと！？
いいだろう、やってやろうじゃないか。
貴様ら、ハイエナの傭兵どもが危険を冒してBETAに突撃しているのに、
我ら誇り高きチェコスロバキア軍が尻尾を巻いて逃げるのか！？
傭兵どもより我々が惰弱であると全世界に知らせる気か！！
残存兵力を纏め上げろ！何としても防衛線を再構築するんだ！」
「「了解ッ！！」」
その言葉に奮起した彼らは、残存兵力をかき集め、戦術機やBETAの残骸すら盾にするような懸命な戦いで、
何とか増援のBETA群を食い止めていく。
それを横目で見ながら、アルムは感嘆の声を上げる。
「ハッ、何だ。あいつらもやればできるんじゃあないか。
よし！こちらも大口叩いた分はきっちり仕事をこなすぞ！行くぞワイルドギース！」
―――この後、ワイルドギースはBETA群を突破に成功。戦線の再構築に成功する。
寸断されたBETA群は、包囲殲滅され、崩壊寸前の戦線は何とか持ち直した。
……だが、今だ戦況は何ら好転の証を見せなかった。
それはさらなる長い戦いが続く事を意味していた。
こんにちわ。零です。
読んでいただいてありがとうございます。
エリア８８＋エースコンバットゼロ＋オペレーショントロイが混じった結果がご覧の有様だよ！
色々小ネタを入れてみましたがどうでしょうか。
よろしければ感想などいただけるととても嬉しいです。
なお、これらの小説は全てフィクションであり
実在の人物、団体、法人、国家、宗教等とは一切関係有りません。
また登場する人物は全て１８歳以上です。
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